グリーンバイオテクノロジー研究センター(Gtech)の開所式を実施

茨城大学グリーンバイオテクノロジー研究センター(通称「Gtech(ジーテック)」)が4月1日に開設されたことを記念した式典が、4月9日(水)、阿見キャンパスで開かれました。
Gtechは、不耕起栽培などの環境保全に関わる農法や、温室効果ガスの抑制につながるような土壌微生物のコントロールについての研究?社会実装により、持続可能な農業の実現と気候変動の緩和を目指す研究組織です。「農業?生態系保全ユニット」「微生物遺伝子情報解析ユニット」「社会共創ユニット」の3つのユニットで構成され、農学部(応用生物学野)のほか理学部(基礎自然科学野)や工学部(応用理工学野)などから、計21名の研究者がメンバーとして名を連ねています。
冒頭、挨拶に立った太田寛行学長は、自身も土壌微生物の研究者であることから、同センターの発足への強い思い入れを語りました。まず、太田学長も参加していた地球変動適応科学研究機関(ICAS、現在は地球?地域環境共創機構(GLEC)に改組)について、畑地に多く生存する糸状菌(カビ)の脱窒活性やカビに内生する細菌の研究など、「新しいことを発見できる場所だった」と回顧した上で、「今日は開所式ということだけでなく、ICAS?GLECから独立して新たな展開をスタートするための日だと思っています」と語りました。
さらに、土壌肥料学の発展に寄与してきた英国のローザムステッド農業試験場の歴史に触れ、「1843年、世界で化学肥料を使い始めたころに圃場試験を始めて現在まで180年以上にわたるデータをもっている、世界遺産レベルの場所。そこから土壌微生物への探究も始まった。Gtechもそういうセンターになってほしい」と思いを述べました。
式典には、阿見町農業振興課長の浅野裕治氏とJA全農いばらき副本部長の鈴木正寿氏が来賓として出席しました。
浅野氏は、茨城大学農学部と阿見町との様々な連携の取組みをひとつひとつ紹介した上で、「農業を活性化していくことは役所だけではどうしてもできません。大学連携にも積極的に協力いただき、関係機関と一体になって地域農業に取り組んできました。このセンターが今後阿見町のみならず地域の農業の活性化に寄与することを願っています」と述べました。
また、鈴木氏も、「産学官が連携した新たな技術開発による茨城の農業の発展、それがさらに日本、アジア中へ展開されていき、持続可能な農業が実現していくことを願っています」と期待を寄せました。
その後は小松﨑センター長がGtechの概要について説明。「農業は環境にネガティブなインパクトを与える産業という印象がもたれているが、茨城大学内のGLECやCRERC(カーボンリサイクルエネルギー研究センター)、RECAS(原子科学研究教育センター)と連携することで、農業生態系における緩和について研究していきたい」と意気込みを述べました。
そして、3つのユニットの役割とメンバーを紹介。式典に出席していたメンバーが一言ずつ挨拶を述べました。
式典の閉会にあたり、応用生物学野の宮口右二学野長(農学部長)は、農学部では多くの留学生が学んでいることにも触れ、「国内だけに留まらず海外とも連携しながらGtechも一緒に発展させていきたい。今後ともよろしくお願いします」と参加者に呼びかけました。